心臓
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第23回 臨床不整脈研究会
無冠尖起源の心房頻拍を認め, 焼灼中に房室結節リエントリー性頻拍へと移行した1例
林 洋史宮内 靖史林 明聰高橋 健太植竹 俊介坪井 一平中辻 綾乃村田 広茂山本 哲平堀江 格小原 俊彦加藤 貴雄水野 杏一
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2011 年 43 巻 SUPPL.3 号 p. S3_34-S3_41

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抄録

症例は52歳, 男性. 繰り返す動悸を自覚し, 携帯心電計で周期240msのnarrow QRS頻拍と心房細動を認めたため, アブレーションを行った. 両側肺静脈を隔離後, 冠静脈洞近位部からのburst pacingでWenckebach型房室ブロックを伴う周期240msの心房頻拍(AT)が誘発され, このATはATP 5mg静注で停止した. AT中のelectroanatomicalマッピングでは, 右房はHis束領域が最早期であったが, 局所の単極電位にR波を認めた. 左房は前壁中隔が最早期であったが同部位での焼灼は無効であった. そこで大動脈弁無冠尖(NCC)にカテーテルを留置したところ, His束領域よりも20msec先行し, 単極電位ではQSパターンとなる最早期興奮部位を認めた. ここでの通電中にATから周期350msの非通常型房室結節リエントリー頻拍(AVNRT)へと移行. その後, 通常型AVNRTも誘発され遅伝導路領域を焼灼し, これらの頻拍はすべて誘発不能となった. NCC起源ATを認め, その焼灼中にAVNRTへの移行が見られた症例を報告する.

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© 2011 公益財団法人 日本心臓財団
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