地理学評論 Ser. A
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現成氷河の質量収支データに基づく涵養域比(AAR)法の検証
青木 賢人
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1999 年 72 巻 11 号 p. 763-772

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抄録

地形的雪線高度は古環境復元の重要な指標の一つである.涵養域比(accumulation area ratio:AAR)法は過去の氷河の地形的雪線高度の認定法として精度が高いと指摘されていたが,解析に用いるAAR値は研究者によって大きく異なっている.そこで地形的雪線高度の復元に用いるための適切なAAR値を求めるため,現成氷河のAAR値と質量収支との関係を検討した.各氷河の質量収支とAAR値は高い相関を示すことが知られており,世界各地の32氷河について質量収支の均衡を仮定した場合のAAR値(AAR0値)を平均すると59.2±6.7%となり,氷河のタイプによる差は認められなかった.明瞭なモレーンを含む氷河地形は,長期的に停滞していた氷河分布を示している.このような氷河では質量収支は均衡していたと考えられるので,上記の平均的なAAR0値を用いることで氷河地形形成時の地形的雪線高度を復元することができる.

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