2012 年 32 巻 6 号 p. 1057-1060
【はじめに】下部消化管穿孔は,虫垂炎を除き高齢者に多く,重篤化する症例も多いため表層SSIが軽視される傾向にある。今回われわれは,皮下ドレーン留置が表層SSI予防に有効か検討した。【対象および方法】対象は2007年1月から2011年6月の期間で,小腸・大腸穿孔のため開腹手術を施行した73例。皮下ドレーン留置群26例,非留置群47例で比較検討した。使用した皮下ドレーンはすべて閉鎖吸引式ドレーンであり,ジャクソンプラット15例,JVAC6例,SBバック5例であった。【結果】表層SSIを生じた症例は,非留置群20/47(42.6%),留置群3/26(11.5%)と有意差(p<0.05)を認めた。【考察】重症感染症例が多いため,表層SSIの発見が遅れるという問題がある。表層SSIは入院中の問題だけではなく,将来腹壁瘢痕ヘルニアをきたす可能性も生じるため予防が重要である。汚染創および不潔創の手術において術後皮下ドレーンを留置することは,表層SSIの予防に有効であると考えられた。