肝臓
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症例報告
発育経過を振り返ることができた肝血管筋脂肪腫の1例
佐藤 里映和栗 暢生荒生 祥尚五十嵐 俊三薛 徹佐藤 宗広相場 恒男米山 靖古川 浩一杉村 一仁五十嵐 健太郎池野 嘉信眞部 祥一豊田 亮横山 直行大谷 哲也三間 紘子橋立 英樹渋谷 宏行
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2013 年 54 巻 2 号 p. 112-119

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抄録

症例は65歳の女性.2003年に近医のCTで肝S2に20 mm大の血管腫を指摘され,フォローされていた.2009年にS2背側の別部位に嚢胞様腫瘤を指摘され,2011年に53 mmに増大したため当科を紹介受診.その時点でフォローされていた血管腫は画像上消失していた.増大傾向の腫瘤は単純CTで低吸収,内部は辺縁主体に不均一な造影効果を認めた.MRI T1強調in phaseで高信号,opposed phaseで低信号で脂肪に富む腫瘤であり,高分化脂肪肉腫と,脂肪成分を主体とする血管筋脂肪腫を鑑別に挙げた.明らかな増大傾向で5 cmを超えることを根拠に,左葉外側区域切除術を施行,病理学的に脂肪成分優位の血管筋脂肪腫と確定診断した.増殖能の高い腫瘍と推測されたが,Ki67陽性細胞は低頻度で,増大の主体は成熟脂肪組織であった.発生初期からの増大する経過を追えた報告はほとんどなく,貴重な症例と考え報告する.

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© 2013 一般社団法人 日本肝臓学会
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