日本消化器内視鏡学会雑誌
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手技の解説
胆管-胆管吻合による生体肝移植後胆管狭窄に対する内視鏡治療
加藤 博也榊原 一郎岡田 裕之山本 和秀
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2013 年 55 巻 2 号 p. 316-328

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抄録

胆管-胆管吻合による生体肝移植後(LDLT)の胆道合併症は重大な術後合併症の1つであり,患者の予後に関わるものである.なかでも術後の胆管狭窄は頻度も高く,そのマネージメントが重要である.LDLT後の胆管狭窄に対する内視鏡治療はまず行うべき治療であるが,その解剖学的な特徴から脳死肝移植後や通常の外科手術後の胆管狭窄に対する内視鏡治療と比較して手技的な難易度が高い.内視鏡治療は胆管造影から,ガイドワイヤーによる狭窄の突破,バルーン拡張,プラスチックステントの留置まで行うが,それぞれの段階でのポイントを理解しておく必要がある.また,LDLTでは移植肝のローテーションや肥大のために,胆管の走行の理解がしばしば困難となるため,内視鏡治療前の外科医からの情報や事前のMRCPなどの画像検査が重要である.各々の症例によって狭窄の程度や胆管の走行が異なるため,症例に応じた治療が重要であるのとともに,よりコンセンサスの得られた手技の確立が必要である.

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© 2013 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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