2013 年 84 巻 1 号 p. 67-76
放牧牛の心拍数(HR)と行動データを数日間,継続的に測定して,GPSによる移動情報から推定したエネルギー消費量(EEGPS)と従来のHRを用いて推定したエネルギー消費量(EEHR)とを比較した.放牧牛の首にGPS, 脚部にIceTagTM Sensor, 胸に心拍計を装着し,歩行速度,移動傾斜角度,歩数,佇立時間,HRを取得し,また気象庁より気温データを収集した. EEGPS の推定には歩行速度と移動傾斜角度を用い,EEHR の推定にはHRを用いた.その結果EEGPS とEEHR は,それぞれ518∼546,667∼867(kJ/BW0.75・日)であり,EEGPS とEEHR の相関係数は0.412∼0.646と中程度であった.また,放牧時にEEHR に影響を与える主要因は歩数,気温,佇立時間である一方,EEGPS には歩行以外の要因によるエネルギー消費量の変化が反映されないことが示された.