日本口蓋裂学会雑誌
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二段階法における硬口蓋閉鎖法の検討
飯田 明彦大橋 靖高木 律男小野 和宏今井 信行神成 庸二早津 誠
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1998 年 23 巻 2 号 p. 68-74

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抄録

当科で,二段階法における硬口蓋裂に対し行った鋤骨弁のみによる閉鎖(鋤骨弁法)76例と鋤骨弁と口蓋弁の2層による閉鎖(鋤骨+口蓋弁法)16例について手術時および術後の状態について比較検討し,以下の結果を得た。
1.鋤骨弁法の出血量は42.4gで,鋤骨+口蓋弁法の出血量103.6gに比較して有意に少なかった。
2.術後の痩孔発生は92例中10例(10.9%)と少なく,鋤骨弁法と鋤骨+口蓋弁法に差はなかった。また,重篤な機能障害を残遺するような大きな痩孔形成は認められなかった。
3.raw surfaceはテルダーミス®で被覆したが,著しい搬痕を形成した症例は認められなかった。
4.以上の結果から,二段階法における硬口蓋裂の閉鎖は,鋤骨弁による,より侵襲の少ない方法によって行うことにより,二段階口蓋形成手術法の有用性を高めることができると言える。

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© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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