2012 年 52 巻 7 号 p. 1001-1006
目的.本邦肺がんの罹患,治療成績,生存率に関する統計は,それぞれ異なる集団を対象としている.一定の対象集団における罹患・病態・治療成績・生存率について検討した.対象と方法.新潟県地域がん登録資料と肺がん手術登録資料より1991年以降の変動を解析した.結果.新潟県は本邦と同様,悪性新生物が死亡原因の第一位で,臓器別死亡原因でも肺がんが第一位であり,年齢調整罹患率も全国値と近似していた.肺がん全体の生存率は年代とともに上昇し,2000~'04年診断例では29.0%に改善した.生存率の改善は,小型で早期の肺がんが増加し,これらを外科治療で対処したことが主たる要因と推察された.結語.新潟県においては,年代に伴い小型で早期の肺がん増加による生存率の改善傾向を認めた.