教育心理学研究
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MIMICモデルによるアイデンティティの実感としての充実感の構造の検討
大野 久茂垣 まどか三好 昭子内島 香絵
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2004 年 52 巻 3 号 p. 320-330

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抄録

本研究の目的は, 充実感モデル (大野, 1984) に示された要因に基づき, 多重指標多重原因モデル (MIMIC モデル) を構成し, その構造を吟味することである。このモデルでは,「自立・自信」,「連帯」,「信頼」が潜在変数「包括的アイデンティティ」に影響し, その「包括的アイデンティティ」が,「充実感気分」,「満足感」に影響するであろうことが想定された。調査は, 285名の大学生が充実感尺度 (大野, 1984) と人生満足度尺度 (Diener et al, 1985) に回答した。そこで本研究ではこのモデルに関して, 共分散構造分析の結果, このMIMICモデルのデータへの適合度が高く, 現在でも充実感モデルに示された要因が妥当であること, 男女ともに同じモデルが適合し頑健性の高いモデルであることが示された。また, 充実感が青年期に限らず, 生涯発達を通じての包括的アイデンティティの実感である「満たされた感じ」である可能性が示唆された。

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© 日本教育心理学会
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