教育心理学研究
Online ISSN : 2186-3075
Print ISSN : 0021-5015
ISSN-L : 0021-5015
現代大学生における自己形成とアイデンティティ
日常的活動とその文脈の観点から
山田 剛史
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 52 巻 4 号 p. 402-413

詳細
抄録

現代大学生の日常的な活動は, どのようにして自己形成に関わる活動として機能しているかを明らかにするために, 大学生141名に対して質問紙調査を行った。その結果, 第1に, 自己形成的活動に対する肯定的認知評価と自我同一性との関連がみられたことから, アイデンティティの感覚といった内的な同一性の概念が, 外的な活動に対して付与された認知的評価 (自己形成) との関連によって形成・獲得されることが示された。第2に, 遊び・対人関係の成長志向的な文脈や生活習慣の生活重視的な文脈が充実感や自己受容を支え, 授業・講義による将来の見通しの文脈や自己研鑽の成長志向的文脈が自己目標志向性を支えるというように, 自己形成的活動の内容はその文脈によって異なる機能を持つことが明らかにされた。

著者関連情報
© 日本教育心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top