生理心理学と精神生理学
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継続的タイミングと随伴陰性変動
望月 芳子田中 秀明竹内 成生高澤 則美山崎 勝男
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2006 年 24 巻 3 号 p. 219-226

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抄録

本研究ではCNVパラダイム (警告刺激 (S1) 一命令刺激 (S2) -運動反応 (MR)) を用い, 随伴陰性変動 (contingent negative variation : CNV) と反応時間 (reaction time : RT) を指標として, 継続的タイミング事態の脳内情報処理を時系列的に検討した。実験では刺激問間隔 (inter-stimulus interval : ISI) と試行間間隔 (inter-trial interval : ITI) を操作し, 記憶痕跡仮説 (Smith, 1968) と一時的抑制効果仮説 (Näätänen&Merisalo, 1977;Niemi&Näätänen, 1981) を検討した。その結果, ISI固定条件よりもISI変動条件で, ITI3sよりもITI10s条件で反応時間が遅延した。CNVはISI変動条件よりも, ISI固定条件でCzの後期成分が振幅増大し, S2に対する反応準備を反映することが推測できた。また, ITI3sよりもITI10s条件がFzとCzで, 前期成分から後期成分にかけて振幅増大し, その振幅増大は時間情報の記憶検索を行うために配分された注意資源を反映することが考えられた。本研究ではSmith (1968) の記憶痕跡仮説を支持できず, Näätänen他の抑制効果仮説を支持した。注意資源はS1-S2間隔の記憶痕跡減弱のために遂行された検索に配分され, 検索の問は反応準備の抑制が維持されたと考えられた。

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© 日本生理心理学会
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