生理心理学と精神生理学
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日常の出来事・気分が唾液中分泌型免疫グロブリンA濃度に与える影響
井澤 修平平田 麗児玉 昌久野村 忍
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2007 年 25 巻 3 号 p. 237-244

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抄録

一貫しない唾液中分泌型免疫グロブリンA (sIgA) 濃度と心理社会的な要因の関連はsIgAの日内変動や急性ストレスによる変動が原因と考えられる。本研究ではそのような変動を避けるために起床時に測定したslgAと日常の出来事・気分の関連を調査した。54人の大学生が2週間の間隔を空けて2回, 起床後すぐに唾液を採取した。また唾液採取の前日, 実験参加者は過去2週間の日常の出来事や気分について質問紙で回答した。一回目から二回目の変化値について日常の出来事・気分とsIgAの間の相関を求めたところ, 日常のネガティブな出来事を多く報告していた参加者や抑うつ気分を報告していた参加者は低いsIgA濃度を示した (それぞれr=-.294, r=-.283) 。また男性ではネガティブな出来事が, 女性では抑うつ気分がsIgAの値と負の相関を示した。女性ではポジティブな出来事と気分がsIgA濃度と正の相関を示した。ネガティブな心理社会的要因はsIgAの減少を, ポジティブな心理社会的要因はsIgAの増加を, それぞれ引き起こすことが示された。

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© 日本生理心理学会
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