日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
Print ISSN : 1344-8447
ISSN-L : 1344-8447
FibroScanを用いた食道静脈瘤の存在診断の現状
瀬川 誠寺井 崇二山崎 隆弘坂井 田功
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 14 巻 4 号 p. 313-316

詳細
抄録

肝硬変の診断方法として, 肝臓の硬さの診断は, 主として触診によってなされてきたが, 最近の技術の進歩により, 超音波を用いて非侵襲的に肝臓の硬さ (肝硬度, 肝弾性値) を測定する機器 (FibroScan) が臨床応用され, 肝線維化の進行と肝弾性値が相関することが明らかとなり, 肝線維化の非侵襲的な評価方法として確立しつつある.一方で, 肝弾性値は, 肝線維化などの静的因子に加え, 血流, 炎症, 胆汁鬱滞などの動的因子も関与していることが明らかになってきた.肝弾性値と門脈圧との関連性が検討されつつあり, 肝弾性値測定による門脈圧亢進症診断への応用が試みられている.肝弾性値測定により, 門脈圧亢進症の合併症である食道静脈瘤の存在診断が可能となれば, 現在肝硬変患者に対しての非侵襲的な定期検査の実施も期待できる.本総説では, 肝弾性値測定による門脈圧亢進症診断に関する現状を述べる.

著者関連情報
© 日本門脈圧亢進症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top