日本門脈圧亢進症学会雑誌
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血行動態に即した治療法としての塞栓術
田尻 孝谷合 信彦真々田 裕宏
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2003 年 9 巻 4 号 p. 218-223

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抄録

教室では経門脈的静脈瘤塞栓術 (PTO・TIO), 部分脾動脈塞栓術 (PSE), 左胃動脈塞栓術 (LGE), さらに内視鏡的硬化療法 (EIS) を単独あるいは併施してきた.一方, 静脈瘤血行動態の検討により, 左胃動脈はすべての食道静脈瘤に関与していることから, すべての症例にLGEは適応となる.左胃静脈が遠肝性に食道静脈瘤に流入している症例は76.2%あり, しかもそのうち吐血歴を有する症例は89.7%, F, 以上RC (++) 以上の高度静脈瘤症例は93.8%であったことから, 静脈瘤がriskyであるほどPTO・TIOの適応となる.PSEは門脈圧減圧効果があり, 各種塞栓術を併施することで各治療法の欠点を補い, 治療効果の確実性, 持続性が得られる.このように塞栓術は静脈瘤に流入するシャント血流をその上流から遮断するという基本的な治療法であり, IVRの組み合わせで確実な治療効果が得られ, 直達手術に近づきうるものである.

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