2012 年 68 巻 7 号 p. III_77-III_85
本研究は水生植物によるエストロゲン類の浄化能力を明らかにするために、内分泌撹乱活性の高いエストロン(E1)、17β-エストラジオール(E2)、17α-エチニルエストラジオール(EE2)を対象物質とし、水生植物および水生植物から抽出した6種類の粗酵素(可溶性・イオン性・共有結合性ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ)を用いて回分処理実験を行った。その結果、エストロゲン類は植物によって効率良く除去されること、およびその反応は主として植物体内の過酸化水素とペルオキシダーゼによることがわかった。また、拡散律速を仮定した数学モデルとの比較から、植物のエストロゲン除去速度は液境膜の物質移動速度に支配されていると考えられた。