日本健康教育学会誌
Online ISSN : 1884-5053
Print ISSN : 1340-2560
ISSN-L : 1340-2560
短報
男性勤労者の野菜摂取行動に関する意思決定バランス尺度の信頼性と妥当性の検討
串田 修村山 伸子
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2013 年 21 巻 1 号 p. 37-45

詳細
抄録

目的:野菜摂取行動に関する意思決定バランス尺度を作成し,その信頼性・妥当性を検討すること.
方法:新潟市内の20の企業施設に属する20~59歳の成人男性勤労者を対象に,2009年9月に自記式質問紙調査を実施した.意思決定バランスは海外の既存尺度から項目選定し,野菜摂取行動に関するpros(恩恵)とcons(負担)各3項目について,重要度をたずねる6項目の尺度としてまとめた.尺度について,Cronbachのアルファを用い信頼性を,確証的因子分析により構成概念妥当性を,行動変容ステージとの関連性により基準関連妥当性を検討した.
結果:回答が得られた600名のうち,527名(平均41.1歳)を解析対象とした.作成した意思決定バランス尺度は項目分析により4項目(pros 2 項目,cons 2 項目)に修正した.意思決定バランス尺度のCronbachのアルファはprosが0.76,consが0.74と各々一定の信頼性が確認された.また,モデル適合度を確認したところ概ね良好な結果が得られた(カイ2乗値=0.024,p=0.878,GFI=1.000,AGFI=1.000,RMSEA=0.000).行動変容ステージとの関連について,prosの得点は,前熟考期に比し準備期で有意な高値を示した(p<0.05).一方,consでは,前熟考期に比し準備期及び実行・維持期で有意な低値を示し(p<0.05),実行・維持期は熟考期に対し有意に得点が低かった(p<0.05).
結論:作成した意思決定バランス尺度は尺度の内的整合性とともに妥当性も確認されたことから,男性勤労者を対象とした場合,一定の信頼性・妥当性を有することが示唆された.

著者関連情報
© 2013 日本健康教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top