地質学雑誌
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総説
瑞浪超深地層研究所における地下深部の水理地質構造調査
竹内 真司三枝 博光天野 健治竹内 竜史
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2013 年 119 巻 2 号 p. 75-90

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抄録

高レベル放射性廃棄物の地層処分やエネルギーの地下備蓄などの分野では,地下深部の地下水流動に影響をおよぼす構造を適切に把握することが,地下施設の設計や物質の移行などを評価するうえで必要不可欠である.地下水流動を規制する地質構造要素として,透水性の高い水みちや地下水流動を遮るような構造などが考えられる.このうち水みちについては,複数の検層手法を比較検討した結果,流体電気伝導度検層が最も多くの水みちを検出できることを確認した.またボーリング孔沿いに存在する複数の水みちの連結性は,水理試験時の水圧の経時変化データの時間微分値を透水量係数の時間変化に換算した値を指標とすることが有効である見通しを得た.さらに,複数孔間の水みちの連結性については,孔間水理試験で得られる水頭拡散率が有効な指標となる可能性を示すとともに,同試験の水圧応答挙動から,遮水性の構造で囲まれた領域を推定可能であることを示した.

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© 2013 日本地質学会
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