2011 年 2011 巻 615 号 p. 615_243-615_262
サイドカー取引とは,スポンサーたる保険会社(主に再保険会社)が,主に自己からの出再先として時限的な特別目的の再保険会社(再保険サイドカーと呼ばれる)を設立し,投資を資本市場から集めて再保険キャパシティを確保して,主に比例再保険による受再事業を営み,その収益を投資家に還元するものである。このサイドカー取引は,バミューダを中心とするオフショア地域で1999年に始まったとされており,2005年に米国を襲ったハリケーン後に隆盛を迎えたが(2006年~2007年),世界的な金融危機後(2008年~)は小康状態のまま現在に至っている。ただ,経済実体が先行しており,何をサイドカー取引と呼ぶべきかが問われている。