日本海水学会誌
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特異的挿入配列を用いた食塩および塩製品中に混入する好塩性微生物の検出法についての検討 (その1)
高度好塩性古細菌Halobacterium属の検出について
寺東 宏明
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2005 年 59 巻 1 号 p. 61-67

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抄録

塩製品の専売廃止により, 私たちは国内外の様々な天然塩由来の塩製品および塩蔵食品を手に入れることができるようになった. 一方, そのような塩製品および塩蔵食品には, 自然界に存在する種々の好塩性微生物が混入している可能性がある. そこでこれら塩製品中に混入する好塩性古細菌の検出法として, 好塩性細菌特異的挿入配列 (Insertion Sequence of Halophile;ISH) を指標としたポリメラーゼ連鎖反応 (Polymerase Chain Reaction;PCR) の応用を検討した.Halobacterium sp. NRC-1株のゲノム中に存在する12種類のISHに対し, 既報の3種類と新規に設計した12種類の計15種類のプライマーセットを作製し, 好塩性古細菌としてHalobacterium sp.NRC-1株およびHalobacterium salinarum, 食品に混入する他の細菌種としてBacillus subtilis, Escherichia coli K12株, Staphylococcus aureusおよびVibrio parahaemolyticusを想定し, そのゲノムDNAをテンプレートにPCRを行った. その結果, 4種類のプライマーセットがHalobacterium特異的な増幅を示し, これらが, 塩製品および塩蔵食品における混入好塩性微生物の検出に応用可能であることが示された.

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