心臓
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第16回 心臓核医学研究会 シンポジウム「心臓核医学の新しい展開」テクネチウム標識心筋製剤を用いた心拍同期心筋シンチブラフィの臨床応用
汲田 伸一郎水村 直木島 鉄仁隈崎 達夫哲翁 弥生酒井 俊太草間 芳樹宗像 一雄
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1996 年 28 巻 Supplement1 号 p. 9-16

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抄録

99mTc標識心筋血流トレーサを用い,鮮明な心拍同期心筋SPECTイメージを得ることができる.Circumferential profile analysisを基本に算出した左室収縮時の心筋count上昇率(%WT)はLVGならびに心エコーより得られた左室収縮能をよく反映しており,臨床的に使用可能な一心機能指標であると考えられる.心拍同期SPECTデータを用いた臨床応用として以下の検討を試みた.(1)低用量DOB負荷時の収縮能評価;心筋梗塞症例を対象とし,安静時ならびに低用量DOBの持続静注下にて心拍同期SPECTデータ収集を行った.同用量DOB負荷エコー上viability(-)の梗塞部%WTは安静時,DOB負荷時にて不変であったのに対し,viability(+)の梗塞部ではDOB負荷時に有意な%WTの上昇を認めた.同法により梗塞部心筋灌流とDOB反応性を同時に同一SPECT上で評価することが可能と考えられる. ( 2 ) 心電図同期法併用による1 2 3 I -BMIPPとのdual SPECTデータ収集;ファントーム実験より得られた至適収集条件を用い,虚血心を対象としてピークの近接する99mTc-MIBI,123IBMIPPのdual SPECTデータ収集を行ったところ,良好な心筋像が得られた.本法により心筋灌流,脂肪酸代謝さらには左室収縮能を同一SPECT上で対比することが可能であった.その他にも,テクネチウム心筋製剤を用いた心拍同期シンチグラフィにはさまざまな臨床応用法が考えられ,虚血心をはじめとする各種心疾患の診断において新たな情報を提供し得るものと考察される.

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