心臓
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臨床 右室流出路起源の非持続型心室頻拍例で,経過中に心室細動を認めた症例の検討
田口 敦史清水 渉鎌倉 史郎相原 直彦栗田 隆志須山 和弘稲垣 正司由谷 親夫下村 克朗
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1997 年 29 巻 12 号 p. 939-944

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抄録

明らかな器質的心疾患を認めない右室流出路起源非持続型の心室頻拍(VT)症例74例中,5例に心室細動(Vf)を確認し(Vf群),その臨床的,病理学的および電気生理学的特微を無作為に選んだ非Vf群20例と比較検討した.
VT rateはVf群282±25/分で非Vf群の187±46/分に比較して有意に強く(p<0.0005),Vf群5例では全例でVT中のQRS波形の変形を認めた.電気生理学的には右室心尖部,流出路の有効不応期と1:1応答に有意差は認めなかったが,非Vf群に比べVf群で不応期が短く,1:1応答が充進している傾向にあった.また,両群とも心室内に明らかな異常電位は認めなかったが,心内膜生検による病理所見ではVf群5例全例に軽度の線維化と3例に中等度の脂肪浸潤を認めた.一方,非Vf群では中等度以上の脂肪浸潤は心筋生検を行った12例中1例も認めなかった.
Vf群は5例ともVT中の心拍数が速く,VT中にQRS波形の変形を認めており,このような所見のある右室流出路起源の非持続型VT症例では,Vfに移行する可能性があり,VTを管理していく上で注意が必要であると考えられた.

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