心臓
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第17回臨床不整脈研究会 冠静脈洞内の通電により焼灼に成功した僧帽弁置換術およびradial手術後心房頻拍の1例
岡崎 怜子宮内 靖史小林 義典丸山 光紀岩崎 雄樹平澤 泰宏阿部 純子谷口 宏史堀江 格舘岡 克彦上野 亮小鹿野 道雄篠田 暁与小原 俊彦平山 悦之加藤 貴雄高野 照夫新田 隆大森 裕也
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2005 年 37 巻 Supplement4 号 p. 115-122

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抄録

症例は74歳,女性.70歳時に僧帽弁置換術および慢性心房細動に対しradial手術施行.手術2カ月後より周期220msの心房頻拍(AT)が持続.AT中,冠静脈洞(CS)の興奮順序は遠位から近位であり,CS内広範囲でpost-pacing interval(PPI)が頻拍周期にほぼ一致するconcealed entrainment(CE)を認めたことから僧帽弁輪を旋回するATと考えた.左房後壁切開線が接合する僧帽弁輪部直下のCS内部にて波高の高い電位が記録され,PPIが頻拍周期に一致するCEを認めた.同部位における高周波通電開始4秒後に頻拍は停止し,以後誘発不能となった.通電部位より2mm近位部でのペーシングで1cm遠位部への伝導時間が200msとなったことからこの通電で左房後壁切開のブロックが完成したと考えた.術中完全に凍結し得なかったCS筋層を介する伝導が頻拍発生の原因と考えられたradial術後ATを経験したので報告する.

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