情報メディア研究
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論文
マニュアルの構成要素から見た高齢者向け携帯電話マニュアルの現状と課題
-高齢者の身体・心理的特性から想定される問題への対応に関して-
三波 千穂美射場 翔平中山 伸一
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2013 年 12 巻 1 号 p. 14-

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抄録

本研究では,高齢者向け携帯電話のマニュアルの現状と課題を調査するため,高齢者の具体的な身体・心理的特性によりマニュアル利用時に起きる状況に対応するには,マニュアルがどうあるべきか想定し,そのためには,マニュアルの構成要素がどのようであるべきかを考えた.そして実際に,高齢者向け携帯電話のマニュアルの構成要素の状況を調査し,対応状況について検討した.その結果,視機能の変化による視力低下,老眼と,神経・脳の老化による認識力の低下による問題に対しては対応がほぼ実現されているが,視機能の変化による色覚の変化に対する対応,経験・判断力の低下による集中力・注意力の持続性低下に対する対応および神経・脳の老化による記憶低下に対する対応は実現途上であることがわかった.同時に,メーカーにより,対応状況が異なることも明らかになった.また,高齢者の身体・心理的特性を整理し,問題を想定し,それに対応するマニュアルの構成要素の組み合わせと状況を想定するという具体的なプロセスが,マニュアル作成において有効である可能性が示唆された.

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© 2013 情報メディア学会
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