2013 年 26 巻 2 号 p. 207-210
唾液腺導管癌 (Salivary Duct Carcinoma, 以下SDC) は唾液腺癌のなかでも数%とまれではあるが, 早期に局所再発やリンパ節転移, 遠隔転移をきたす悪性度の高い腫瘍である. 放射線治療, 化学療法は効果が乏しく, 外科的切除が治療の中心となり, 切除不能例は予後不良となる. 今回, 我々は三叉神経浸潤をきたし切除不能と診断した顎下腺SDCに対し, 重粒子線 (炭素線) を照射し, その後頸部郭清を行った. 顎下腺のSDCは大部分が壊死に陥るほどの高い効果が認められた. 治療後, 2年6ヵ月経過した現在, 明らかな再発を認めていない.