日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
MRI拡散強調画像が診断に有用であった空洞形成肺癌の1例
本野 望田中 良町田 雄一郎薄田 勝男佐川 元保佐久間 勉
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2013 年 27 巻 5 号 p. 632-636

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抄録

背景.空洞を形成する肺病変には感染性肺疾患,原発性肺癌,転移性肺腫瘍などがあるが,時に診断確定に難渋することがある.今回,MRI拡散強調画像が診断に有用であった肺癌の症例を経験したので報告する.症例.59歳,男性.検診目的の胸部X線検査で右肺異常影を指摘された.2年前の胸部CTで右肺S9に肺炎を疑わせる浸潤影をみとめたが,今回の胸部CTは同部位に4.5 cm大の空洞を伴う腫瘤を認めた.気管支鏡では確定診断に至らず,経過からは遺残した肺膿瘍腔の可能性も考えられ,抗生剤を投与したが画像上改善を認めなかった.しかし,MRI拡散強調画像で空洞壁に一致して高信号を認めた点から細胞密度の高い腫瘍性病変の存在が疑われたため手術を施行した.病理組織検査では粘液産生性混合型腺癌(腺房型および細気管支肺胞上皮癌),pT2aN2M0 pStage IIIAであった.結論.MRI拡散強調画像が肺悪性腫瘍の診断補助になる可能性が示唆された.

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