日本経営工学会論文誌
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原著論文(理論・技術)
書籍流通システムにおける契約問題のDistribution Free Approachに基づく解法
有薗 育生竹本 康彦辻脇 優一
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2013 年 64 巻 1 号 p. 63-74

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抄録

我が国の書籍や音楽CDならびに新聞などの販売形態の特徴的な制度として,再販売価格維持制度と委託販売制度が存在する.これらの販売制度のもとに,近年,書籍の返品率は約40%に昇り,出版業務の経済性を圧迫している.このような状況の改善を目的として,出版社から書店への書籍の卸売価格を従来の価格から下げるが返品時に卸売価格の数割程度でしか買戻さない責任販売制度による取引が導入されてきた.このことに鑑み,責任販売制度への円滑な移行を実現することを目的に,卸売価格と買戻価格に関する契約を出版社と書店双方が協調的に意志決定するためのプロセスが考察されている.ただし,従来研究では出版媒体として雑誌等を想定し,その需要分布に関して既知である状況を仮定している.一方,書籍は,その性質から製品寿命が長く,代替のない唯一性が強い製品である.この特性において,書籍の需要分布を厳密に把握することは必ずしも容易ではない.本研究では,需要量の期待値や分散という限定された情報のみに基づいて同様の契約問題に関する解を合理的に与えるための方法について,Distribution Free Approachの概念を用いて考究する.この結果として,書店と出版社にとって,双方の利益に関する最大満足を目指す合理的な契約事項の決定プロセスを提示する.

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© 2013 公益社団法人 日本経営工学会
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