2001 年 26 巻 2 号 p. 163-166
乳癌の手術は縮小化が進み, 患者にとって望ましい術式・乳房温存療法が主流となってきている。しかし従来の診断法である視・触診, 画像診断 (マンモグラフィ, 超音波, CT, MRI) のみでは腋窩リンパ節転移状況の診断は困難であるため, 約過半数を占める腋窩リンパ節転移陰性症例に対しても郭清を行うのが一般的であった。腋窩リンパ節転移陰性乳癌に対する縮小術 (腋窩非郭清) を行うべく, 当科ではsentinel node (SN) の概念を1998年7月から導入した。SN biopsyによる腋窩リンパ節転移状況の術中診断, 腋窩リンパ節転移陰性乳癌に対する合理的非郭清の可能性, SN biopsyに伴う問題点について検討した。