日本臨床外科学会雑誌
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症例
抗GAD抗体陽性重症筋無力症合併胸腺腫の1例
佐藤 征二郎土田 正則
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キーワード: 胸腺腫, 糖尿病, 抗GAD抗体
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2013 年 74 巻 8 号 p. 2101-2105

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抄録

症例は75歳,男性.眼瞼下垂,複視,口周囲違和感を自覚し近医受診.抗Ach-R抗体陽性,テンシロンテスト陽性,胸部CTで前縦隔に56×30mm大の腫瘤を認め,重症筋無力症合併胸腺腫と診断された.また,短期間にて血糖値の上昇を認めたため,精査したところ血清抗GAD抗体51,000u/mlと強陽性であり1型糖尿病の合併と考えられた.重症筋無力症合併胸腺腫に対しては拡大胸腺摘出術を施行し,左腕頭静脈に浸潤を呈する正岡III期であった.病理組織学的にはtype B1胸腺腫であり,免疫染色ではGAD抗体に陽性を示した.術後はステロイドを導入し,筋無力症状の消失,抗Ach-R抗体および抗GAD抗体はともに減少傾向であるが,糖尿病の改善は認めていない.胸腺腫は重症筋無力症をはじめ種々の自己免疫疾患を合併するが,代表的な自己免疫疾患である1型糖尿病の合併は稀であり,過去の症例と併せて報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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