2013 年 69 巻 2 号 p. I_1180-I_1185
東日本大震災の際の津波により大量の中・大規模漂流物が北太平洋へ流出し,約1年後に青森県八戸市の港から流された漁船(全長約30m)がカナダ沖合で発見された事例を踏まえてCGADDからの風圧係数,風速及び海流のモデル気候値を用いて北太平洋上の漂流漁船挙動シミュレーションにおける風圧係数の影響を調べた.今回の漂流漁船のように,シミュレーションでは八戸沖合の漂流物が北緯45度程度のアメリカ・カナダ沖合へ1年程度で到着する.風圧係数が小さくなるにつれて,漂流物が北アメリカ沖合からハワイ諸島沖合へ時計回りに移動する軌跡の大きさは小さくなり,漂流物はハワイ諸島沖合と北アメリカ沖合の間に留まる傾向を示す.この海域はGreat Pacific garbage patchに相当する.さらにアメリカ・カナダ沖合へ到着する漂流物数,短い移動時間の頻度は減少傾向を示す.