2013 年 38 巻 4 号 p. 809-814
83歳男性.50歳時に胃潰瘍にて幽門側胃切除術,Billroth Ⅰ法再建を施行されている.2008年1月上腹部痛が出現し近医を受診した.上部消化管内視鏡検査で残胃内の胃石および吻合部潰瘍を認め入院した.入院後に胆汁様嘔吐を認めたため腹部CT検査を施行すると,胃十二指腸の拡張とTreitz靭帯近傍の空腸内に40mm大の淡い腫瘤像を認めた.当科へ紹介され胃石の落下によるイレウスと診断し緊急手術を施行した.術中空腸に楕円形の硬い腫瘤を触知し空腸に切開を加えて摘出すると70×40mm大の胃石であった.術後経過は良好で第18日目に退院した.残胃胃石が小腸内へ落下した場合は急激にイレウスを発症し緊急手術が必要になる場合があるため注意が必要である.