2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_55
Brugada症候群(BS)では心室細動が問題となるが,まれに持続性単形性心室頻拍(VT)を起こすことがある.当院で電気生理学的検査を施行したBS 179人中4例にVTが誘発され,うち3例では入院前に動悸発作があった.2例(症例1,2)は右室流出路(左脚ブロックLBBB,下方軸)型VTでR波は症例1ではI,aVL誘導とも(-),最早期興奮部位は左冠尖にみられた.症例2ではR波はI(+),aVL(-)で,最早期興奮部位は右室流出路および左冠尖であった.症例1,2とも冠尖内に遅延電位を認め,同部位で通電するも無効であった.症例1では通電中に単形性VTが多形性VTに変化し,術後に心室細動を認めた.VTの機序としては,心外膜側起源で非リエントリー性と考えられた.右脚ブロック(RBBB)+上方軸型VTの2例は,VT中に前プルキンエ電位,プルキンエ電位が記録され,リエントリー性の特発性左室心室頻拍と診断した.
Brugada症候群に伴う持続性VTを4例経験したので報告する.