日本臨床免疫学会会誌
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W5-2  混合性結合組織病(MCTD)および抗U1-RNP抗体陽性膠原病のゲノムワイド関連解析(GWAS)
中坊 周一郎大村 浩一郎寺尾 知可史川口 鎮司桑名 正隆田中 住明中嶋 蘭橋本 求井村 嘉孝湯川 尚一郎吉藤 元藤井 隆夫吉田 俊治松田 文彦三森 経世
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2013 年 36 巻 5 号 p. 343b

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抄録

【背景と目的】
 GWASによって自己免疫疾患に関する多数の関連遺伝子が同定されているが,MCTDに関してはHLA以外はこれまで報告がない.抗U1-RNP抗体陽性膠原病はレイノー現象や肺高血圧症を伴いやすいなど共通の特徴を示すため,我々はMCTDを中心とした抗U1-RNP抗体陽性膠原病患者についてGWASを行なった.
【方法】
 288人の抗U1-RNP抗体陽性膠原病患者と657人の健常人についてGWASを行なった.タイピングにはIllumina Infinium HumanExome BeadChip Kit(246,006個のSNPを搭載)を用いた.Call rate>0.95,minor allele frequency>0.05,ハーディー・ワインバーグ平衡検定でP値>0.00001を基準としてQuality Control (QC)を行なった.
【結果】
 24,525個のSNPと286人の患者,657人の健常人がQC基準を通過した.
 その中でHLA-DRA(rs3129878,オッズ比1.87,p=6.32×10−10)およびBLK(rs2618476,オッズ比1.86,p=3.44×10−7)が有意(p<2.04×10−6)な関連を示し,STAT4(rs7601754,オッズ比2.03,p=3.11×10−6)も弱い関連が認められた.
 またMCTDの診断基準を満たす例に限ってサブ解析を行なうと,HLA-DRAが最も強い関連を示すとともに,MCTD独自の遺伝子としてCCDC8,SEMA6Dが疾患と関連する可能性が示唆された.
【結論】
 抗U1-RNP抗体陽性膠原病に関連する遺伝子と共に,MCTD独自の疾患関連遺伝子の存在が示唆された.

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© 2013 日本臨床免疫学会
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