土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)
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和文論文
乾燥収縮ひずみにより変状が生じた構造物と拡散理論に基づく乾燥収縮解析
小林 仁先本 勉藤井 隆史綾野 克紀宮川 豊章
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2013 年 69 巻 4 号 p. 390-401

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抄録

 供用後,比較的早い段階でプレストレストコンクリート橋の上部工にひび割れが生じた事例を基に,その発生原因がコンクリートの乾燥収縮ひずみを大きくする粗骨材を使用したことである調査結果を報告する.また,乾燥収縮ひずみが原因で生じた損傷を数値解析によって再現した結果を示す.その結果,部材断面に比べてスパンが長く,乾燥収縮ひずみによる変形に平面保持が成り立つと仮定することができる場合であっても,断面内の乾燥収縮ひずみを一定と仮定した場合にはひび割れによる変状を完全には再現できないことを示す.また,実際に乾燥収縮ひずみが原因で生じたひび割れの方向や発生位置を再現するためには,拡散理論に基づき部材内部の水分移動を考慮した数値解析を実施し,断面内の乾燥収縮ひずみの分布を考慮する必要があることを示す.

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© 2013 公益社団法人 土木学会
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