動物遺伝育種研究
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原著論文
酵母ツーハイブリッド法を用いた TMEM48と結合する精巣タンパク質のスクリーニング
梶田 晋平秋山 耕陽辻 岳人国枝 哲夫
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2013 年 41 巻 2 号 p. 77-86

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抄録

Tmem48は、配偶子形成および中軸骨格に異常を呈するミュータントマウスであるsksマウスの原因となる、核膜孔複合体を構成する核膜タンパク質の遺伝子である。sksマウスでは、Tmem48に生じた塩基置換により、本遺伝子が機能しなくなることにより、減数分裂が正常に進行せずに精子形成に顕著な異常を生じることから、TMEM48を介した核膜孔複合体の機能はほ乳類の配偶子形成に不可欠であることが示唆されている。そこで本研究では、酵母ツーハイブリッド法を用いて、マウス精巣で発現しているタンパク質の中から、TMEM48と結合する可能性のあるタンパク質を同定することで、ほ乳類の配偶子形成に重要な役割を持つ可能性のあるタンパク質を同定することを試みた。スクリーニングの結果、精巣で発現し、TMEM48と相互作用することが示唆される計31のタンパク質の遺伝子が同定された。これらの遺伝子のマウスの各種臓器での発現を調べたところ、Dynll2Pabpc2Spink2Txnl4bが精巣特異的に発現していることが確認された。さらに、生後最初にすべての精細管で同調した精子形成が進行するファーストウェーブ精子形成の各時期におけるこれらの遺伝子の発現を調べたところ、これらの遺伝子はそれぞれ、精子形成過程での減数分裂の特異的な時期に発現してことが明らかとなった。以上のことから、これらの遺伝子のタンパク質は、生殖細胞内においてTMEM48と相互作用し、ほ乳類の配偶子形成過程に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。

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© 2013 日本動物遺伝育種学会
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