日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 2D-a1
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口頭発表
エコロジー調理に適した調理法の検討(1)同一物性を得るために必要なエネルギー消費量の測定
*松本 真由子長谷川 朋子北尾 悟安藤 真美高村 仁知的場 輝佳
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抄録

【目的】地球温暖化の原因とされるCO2排出量の削減や原子力発電再稼働の是非など、エネルギー事情は逼迫した状況にある。調理において、調理機器・器具や調理操作の違いで消費エネルギー量は大きく左右される。今回は、食品の第二次機能である嗜好性に大きな影響を与える物性を同じ状態にした水煮調理品を試作し、調理法の違いによる消費エネルギー量を算出し、エネルギー事情に配慮したエコロジー調理への可能性について検討した。
【方法】試料はジャガイモ(北海道産メークイン)、ダイコン(徳島県産青首)を用いた。共に部位を揃え3cm角に調製した試料4つを1回の試料として調理法ごとに3回ずつ加熱調理した。今回は調味料を用いない湿式加熱である「ゆでる」、「蒸す」操作を選定し、ガスコンロ及び電子レンジを用い、調理器具と蒸らし操作の有無を組み合わせた8種類の調理法について比較した。標準的な調理法であるアルミ鍋水煮での破断応力値を基準とし、他の調理法における調理時間を決定した。物性はクリープメーターにて測定した。さらに消費ガス量・電力量から、CO2排出量及び消費一次エネルギー量を算出し、比較・検討した。
【結果】ジャガイモ、ダイコン共に、8種類の調理法で破断応力がほぼ同様の試料を得ることができた。CO2排出量と消費一次エネルギー量は、電子レンジを用いた場合、ガスコンロを用いた場合よりも少なくなる傾向が見られ、基準調理に対してCO2排出量をジャガイモでは18~33%、ダイコンでは25~39%削減することができた。さらに蒸らし操作を加えるとより効果的であることが認められた。以上より、調理法を工夫することによって消費エネルギー量を削減でき、エコロジー調理に繋げることができると考えられる。 

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© 2012 日本調理科学会
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