日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成25年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 1P-55
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ポスター発表(1日目)
ポスト思春期のカロリー制限が卵巣機能に及ぼす影響
*藤原 智子古川 あずさ松元 茜中田 理恵子
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抄録

[目的]思春期の食生活の重要性については広く認識されているが、思春期以後さらに成熟しつつある女性(18-22歳)には適切な医学的分類用語が存在せず、食生活において自立を始める時期にもかかわらずこの時期の女性を対象とした予防医学的視点からの食生活指導および指標は未だ十分とはいえない。演者らはこの時期を「ポスト思春期」と位置づけ、十数年にわたるアンケート調査から食生活習慣の中でも朝食の欠食と不適切なダイエットが将来の婦人科疾患の誘発に関与している可能性を報告してきた1)。今回はポスト思春期の食生活が以後の母性を担う時期のQOLに及ぼす影響を詳細に検討する目的で、雌性ラットを用いてカロリー制限が卵巣機能に及ぼす影響について検証実験を行った。 [方法]8週齢のWistar系雌性ラットを、暗期あるいは明期にのみ給餌する群に分類し、4週間 50%カロリー制限食で飢餓状態を負荷した後、制限を解除してさらに4週間飼育し、体重の変化と膣スメア法による性周期の変化を観察した。また食餌制限終了時およびその4週間後の卵巣の最大長径切片をHE染色し、顕微鏡下で卵胞と黄体の形態を観察した。 [結果]飼育期間中を通して自由摂取した対照群に比べて、制限群は暗期、明期のいずれの給餌群でも制限中に排卵が停止することが確認できたが、暗期(活動期)給餌群においては、卵胞の形成が継続的に行われている可能性が示された。一方で明期(非活動期)給餌群は制限を解除した後も卵巣重量が有意に低く、摂食リズムが卵巣機能の回復に影響する可能性が示唆された。 1)Fujiwara T. and Nakata R. Appetite 2010:55:714-717.

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© 2013 日本調理科学会
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