日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成25年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2D-p3
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口頭発表
食肉の理化学的性質に及ばすきのこのプロテアーゼの影響
*徐 維小澤 好夫平方 千裕宮澤 紀子阿部 雅子綾部 園子
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キーワード: きのこ, プロテアーゼ, 物性
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抄録

【目的】きのこはプロテアーゼを含むことが知られており、マイタケ、ヒラタケなどは、高い活性を有する。しかしながら、実際にきのこを食材と一緒に調理した際の理化学的変化についての研究はまだ少ない。そこで、各種きのこのプロテアーゼ活性を測定し、食肉の理化学的性質にどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的とした。
【方法】3産地(長野、福岡、広島)のバイリング、マイタケ、ヒラタケ、ハタケシメジ、ブナシメジ合計7種のきのこを用い、水抽出液と凍結乾燥粉末を調製した。プロテアーゼ活性は、30℃でpH3~8の11段階、pH3.5とpH6で30℃~90℃の7段階で測定した。一括購入した牛肉を4×4×1㎝に成形し冷凍保存した。冷蔵庫(4℃、12時間放置)で解凍した牛肉を、きのこの水抽出液または粉末試料に浸漬し、20分または24時間保存後、真空調理(70℃、2時間)して測定試料とした。測定項目は、保水率、水分保持率、重量保持率、物性(テクスチャーアナライザー)である。
【結果】抽出液のプロテアーゼ活性はマイタケ・ヒラタケ・ハタケシメジで高く、ブナシメジ・バイリングは低かった。また、pH3付近とpH6.5~7.5付近にピークがあり、温度依存性が認められた。バイリングは粉末試料の方が水抽出よりも相対的に活性が高かった。SDS-PAGEにより、基質のバンドがきのこ添加により消失したことを確認した。加熱肉の重量変化はマイタケで大きく、水抽出で大きかった。きのこ添加試料は水分が多く、保水性も高かった。物性測定の結果、きのこ添加試料は凝集性が有意に減少し、内部結合力が小さくなったことが示唆された。

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© 2013 日本調理科学会
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