日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: F30
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育種
加温処理によるカラマツ類のつぎ木ポット苗の着花促進
*今 博計来田 和人内山 和子黒丸 亮
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抄録

カラマツ類の採種園・交配園では、着花調節が難しい、着花の年変動が大きいことなど、着花・結実性が大きな問題となっている。これまで人為的に花を着けさせるため、薬剤処理(GA4/7)や根切り・傷つけ処理など様々な方法が試みられてきたが、有効な手法は確立されてこなかった。しかし、近年カナダのケベック州では、日本カラマツとヨーロッパカラマツの接ぎ木苗を側面に小さな穴の開いたポットに植え、温室で育てることで、着花を促進させることに成功している(Colas et al. 2008)。「double pot system」と呼ばれるこの着花調節を見学した武津(2008)は、空中根切りによる乾燥ストレス、温室での温度調節が着花の鍵になっていると報告している。本研究では、カラマツ2クローンとグイマツ3クローンの接ぎ木苗を対象に、①ポット+6月加温処理、②ポット処理を行い、③圃場に植栽した苗を対照とすることで、乾燥と加温が着花に及ぼす影響について実験を行った。その結果、カラマツでのみ処理による効果が認められた。着花率は胆振1号では①21%、②2.3%、③0.7%、空知3号では①6%、②0.1%、③0%であり、乾燥ストレスと前年6月の高温が着花に影響していることを示唆していた。

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© 2013 日本森林学会
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