日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: I18
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山地森林流域からの水流出予測精度の向上にむけて
(工学系)雨水流出研究の課題と森林水文学への期待
*市川 温
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抄録

工学系の雨水流出研究の大きな目的は、合理的な治水計画・水防災計画・水資源計画の立案に資することである。降雨に伴ってどの程度河川流量が増大するのか、流域での雨水氾濫を防ぐためにはどのような水工施設が必要となるのか、渇水時の河川流量はどの程度になるのか、安定的に水を供給するためにはどのようにダム貯水池を運用すればよいのか。工学系雨水流出研究は、主としてこのような工学的疑問に対する答えを得るために行われてきた。その一連のプロセスでは、流域内の雨水流動により確からしく迫ることを目的として、水理学的基礎を持つ流れのモデルや、詳細な地理データ、レーダ観測による降雨の時空間分布情報などが取り入れられていった。また、モデルパラメタの自動同定や、計算精度向上のための観測情報の同化、雨水流出のリアルタイム予測といった応用的技術も積極的に開発されてきた。このように、工学系雨水流出研究は一定の成果をあげてきたようであるが、その一方で、流域で生じている雨水流動を正しく表現しているのか定かではないという指摘もある。本発表では工学系雨水流出研究の成果と課題を概観し、工学的立場から森林水文学に寄せる期待を述べる。

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