間伐は人工林の適切な維持管理に欠かせない施業であるが、林内の上木・下層植生・土壌のみならず、渓流水質を通じて流域環境にも影響を及ぼすと考えられている。渓流水質の変化は、間伐による土壌の炭素・窒素動態の改変に起因するが、このとき土壌微生物群集にどのような変化が起きているのかについては殆ど知られていない。そこで、土壌細菌群集のDNA分析から、間伐による土壌細菌群集の変化を明らかにすること目的として調査を行った。調査は京都大学芦生研究林の2つのスギ人工林で行った。一方の人工林では昨年6月に間伐を行い、他方は間伐を行わない対照区とした。2つの人工林において5月(間伐前)と11月(間伐後)にそれぞれ5地点から0-10cm間の鉱質土壌を採取した。採取した土壌は篩別後にDNAを抽出し、土壌DNA溶液中の細菌16S rDNAの断片(約1400bp)を増幅した。増幅DNA断片は大腸菌の形質転換により単離し、制限酵素処理による切断パターンから土壌試料ごとの16S rDNA多型を決定した。発表では、間伐前後の16S rDNAの多型パターン・多様性と土壌の炭素・窒素動態をサイト間で比較した結果を合わせて示す。