岸田・津野(2001)が提案した一面せん断挙動モデルは,ラフネス標高分布,母岩強度,基礎摩擦角および垂直拘束圧を入力データとして,せん断に伴う応力やダイレイションの変化,ラフネス標高分布の変化を表現しうるモデルである.本報告では,このモデルを基に,不連続面の透水挙動(水頭分布や流量分布)を推定する手法について説明する.すなわち,せん断各段階でのラフネス標高分布とダイレイション量の解析結果から開口幅分布を求め,開口幅分布から三乗則に基づいて透水量係数分布を求める.透水量係数分布から不連続面の開口状況を管路網に置き換えて,不連続面に水頭差を与えた時の面内の水頭分布と流量分布を求める手法である.自然ラフネスの標高分布を用いた数値実験から,不連続面内では水が複雑な経路をたどって選択的に流れる,いわゆるチャネリング現象が表現されることを確認した.岸田・津野:摩擦とラフネスを考慮した岩盤不連続面の一面せん断挙動のモデル化,土木学会論文集No.680/III-55, pp.245-261, 2001.