主催: 水文・水資源学会
アジアモンスーン地域の水資源の急変動、人口増加に対し、食糧の安定供給には灌漑が不可欠であるとし、コメの一大生産地、メコン川流域にある灌漑地区の解析を行った。研究対象地はラオス、サバナケット県のKM35灌漑地区を選び、FAOのCROPWATモデルを用いて、実収量から2004年雨期の灌漑水量を推定した。CROPWATは畑作に適したモデルであるため、栽培形態の異なる水田の特徴、畦畔の高さの分布をモデルに組み入れた。KM35を13エリアに分割して、それぞれの収量、畦畔高さ、耕盤深さの分布を測定し、各エリアの灌漑水量を推定した結果、延べ灌漑日数は平均で34日間、日灌漑水量は収量が低いエリアではほぼゼロ、最も多い収量がエリアで5.5mm、エリア全体の総灌漑水量は約623,000m3であった。これは、有効貯水量の約7%であり、計画の要求用水量627,000m3に極めて近い。一方で、実収量と、畦畔高さ・耕盤深さの関係から、畦畔が高いと水分ストレスが掛かりにくいことがいえた。