将来の気候変動により起こる各地での水循環変動に対する対策をとるために、気候モデルを用いて予測しなければならない。しかし、モデルの再現精度には時間的・空間的な不確実性があるため、モデルのバイアス補正を常に一定の条件では行えないのが現状である。そこで本研究では、領域気象モデルによって再現された過去の降水分布を用い、その再現精度の不確実性が何によって生じるのかを、1イベント降水量に注目することにより検討した。まず、不確実性を表す指標の大きい地点を全国から30地点を選び、それぞれについてAMeDASとモデルの1イベント降水量を比較した。次に、不確実性の挙動をさらに詳しく検討するために、1イベント降水量を、降水の原因と考えられる降水プロセスごとに分類して比較した。その結果、全体的に台風による降水をモデルは再現しにくいことや、各地点によって再現しやすい降水プロセスやしにくい降水プロセスがあることがわかった。