主催: 水文・水資源学会
アメリカ北東部で開発された渓流水質予測モデルをアジアモンスーン地域に適用したところ、この地域の正確な水文過程を考慮した改良をモデルに組み込むこと必要があることが明らかになった。この改良により、表層土壌水と下層の地下水との混合過程が反映され、表層の窒素プールから渓流への流出遅れが表現できるようになった。しかし、計算濃度は観測値より高く、観測流域の現実に即した植生パラメータの適用によりこの結果は改善される可能性がある。これに加え、常に飽和状態にあり、長い滞留時間を持つ地下水帯内では、還元条件下での脱窒反応が進行するが、モデルにはこの影響は含まれていない。従って、水文過程を正確に考慮したモデルを適用することにより、脱窒などの生物化学過程がどの程度渓流水の濃度に影響するかを検討することが可能になる。