抄録
本稿では,気象庁と国土交通省河川局から公開されている雨量観測データを用いて,我が国の地上雨量観測所におけるデータの蓄積期間特性と大都市圏における地上雨量観測所の空間解析を行った.本研究で得られた主な知見を以下に示す.
(1)地形標高と観測所標高の解析の結果,地形標高の度数分布に応じて観測所が配置されており,標高約2500m以上の地域では両観測機関とも地上雨量観測所がほとんど設置されていない.
(2)時間,日及び年降水量における観測データの蓄積年数を調査した結果,観測所の約7割が30年分以下であった.
(3)人口や資産が集中する大都市圏にて空間解析を行った結果,水平スケール10km程度の気象現象に対しては,十分対応できる観測体制である.