湿潤地域の水資源や農業水利用は,乾燥地・半乾燥地と大きく異なる一方で,明確な乾期と雨期が存在し,同地域内の農地水利用には多様性があることが特徴である。これまで,水田主体域を対象に多様な農地水利用を組み込んだ分布型水循環モデルを構築し,各種人間活動(農業や地球温暖化)が流域水循環に与える影響を具体的に評価・予測できることを示してきた。ここでは,それを食料生産/需給に繋げる水-食料モデルに展開した試みを紹介した。さらに,その統合モデルを水循環変動や地球温暖化に伴う食料への影響評価にいかに利活用するかについて考察を行った。