主催: 水文・水資源学会
気象状況の変化が河川の流況に及ぼす影響については,水利用や洪水制御などの影響があるため観測流量だけで評価することは難しい。ここでは,我が国における河川流域の標準的な流出特性を表すと考えられるタンクモデルを用い,このモデルに日本全国で観測された水文気象データを与えて得られた計算流量を基に,近年の流出特性の経年変化を数値実験的に調べ,水文気象条件の変化が河川の流況に及ぼす影響を検討した。全国156箇所の気象観測点における水文気象データを用いて流出計算を行い,各年の流況曲線の経年変化を調べた結果,流量が少なくなるほど流量の経年的減少の傾向が大きく,約70%の観測点で渇水量が20%以上減少することが示され,特に,瀬戸内地域,長野県周辺,北海道,南西諸島で50%以上の大幅な減少が見られた。