演者らは、酸化カルシウムがバイオディーゼル燃料の生成反応に極めて高活性であることを見出し、実用化に向けて研究を進めている。酸化カルシウム自身はアルコールとの反応性が高いため、バイオディーゼル燃料生成反応用の触媒として実用化するには、反応条件下での化学状態を明らかにすることが必要である。そこで、酸化カルシウム触媒を食用大豆油からのバイオディーゼル生成反応に繰り返し使用する実験を行った。その結果、酸化カルシウムはバイオディーゼル燃料生成反応で副生するグリセリンと反応し、カルシウムジグリセロキシドに変わっていた。このカルシウムジグリセロキシドも、バイオディーゼル燃料生成反応に活性であり、酸化カルシウム触媒を用いたときに匹敵する反応収率が得られた。また、カルシウムグリセロキシドは大気接触耐性に優れた固体塩基触媒であった。
