日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-236
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シスプラチン投与ラット尿サンプルにおけるmiRNA発現解析
南 圭一*新田 浩之上原 健城上西 千晶五十嵐 芳暢神吉 将之木野 潤一阿部 香織堀之内 彰小野 敦山田 弘漆谷 徹郎大野 泰雄
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抄録

【背景および目的】トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト(TGP2)は,トキシコゲノミクスによる安全性バイオマーカーの探索を行い,医薬品開発の効率化を目指す産官共同研究である.本プロジェクトでは,ゲノミクスによるバイオマーカーの検討を進める一方,近年飛躍的に研究が進行しているマイクロRNA(miRNA)についてもバイオマーカーとしての有用性に注目し研究を行っている.本検討では,シスプラチン(CDDP)投与ラット腎障害モデルを作製し,尿及び腎についてmiRNAの発現変動解析を行い,各種生化学検査値,病理検査結果との比較を行った.その結果見出された尿中miRNAについて,バイオマーカーとしての有用性を検証した.
【方法】ラット(Crl:CD (SD)IGS;8週齢)にCDDP(0, 1, 4 mg/kg)を静脈内投与し,24及び48時間後に体重,尿量及び摂水量を測定し,腎,尿及び血漿を採取した.血液及び尿生化学検査を行い,尿中及び腎(48時間のみ)におけるmiRNAの測定及び腎病理組織学的検査を行った.
【結果】CDDPのいずれの投与群においても,体重,尿量,摂水量,尿クレアチニンなどの低下が24,48時間ともに認められた.また,腎病理組織学的検査では,CDDPの投与後24時間から,4 mg/kg投与群の全例(N=7)において核クロマチン変性(近位尿細管直部)が認められ,投与後48時間には尿細管壊死も認められた.尿におけるmiRNAアレイ解析の結果,4 mg/kg投与群において投与後24時間では約20種類,投与後48時間では50種類以上のmiRNAの有意な変動が認められ,腎障害時にはより多くのmiRNAが尿中に検出されることが示唆された.一方,腎におけるmiRNAはほとんど変動を示さなかった.投与後48時間において尿中で顕著に増加したmiRNAについてPCRを実施し,miRNAアレイと比較した結果も報告する.

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© 2012 日本毒性学会
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