日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-239
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ラット肝2段階発がんモデルを用いた肝発がんの分子毒性学的研究 -2. 肝臓および血漿における網羅的マイクロRNA発現解析とバイオマーカー探索
*神吉 将之上原 健城林 仁美三森 国敏大村 功南 圭一中津 則之小野 敦山田 弘大野 泰雄漆谷 徹郎
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抄録

【背景・目的】我々は2段階肝発がんモデルラットを作製し,種々の検討を実施している。本検討では,2段階肝発がんモデルラットの肝及び血漿における網羅的マイクロRNA発現解析を行い,前がん病変形成過程におけるマイクロRNAの関与およびバイオマーカーとしての有用性について検討した。
【方法】雄性ラット(Crl:CD (SD)IGS;6週齢)にDiethyl nitrosamine(DEN),Thioacetamide(TAA),Methapyrilene(MP),Ethionamide(ETN)及びAcetaminophen(APAP)を2週間反復投与し,2週間休薬後にPhenobarbital(PB)飲水投与を開始した.PB投与1週間の時点で肝部分切除を行い,6週間後に解剖を行った.血漿は2週間休薬後と解剖時,肝臓は肝部分切除時と解剖時に採材し検討に用いた。マイクロRNA発現データはマイクロアレイを用いてデータを取得した。
【結果】肝臓における発現解析の結果,各薬物投与群において5から10種のマイクロRNAについて発現の増加および減少が認められた。前がん病変であるGST-P陽性肝細胞巣の有無による違いを調べた結果,GST-P陽性細胞巣が認められたDENおよびTAAにおいて,miR-34 familyであるmiR-34a, -34b, -34cの発現変化が認められた。miR-34 familyはDNA障害やp53シグナリングとの関与が報告されており,発がんメカニズムにおける重要な因子である事が推察された。血漿における発現解析では,各薬物投与群において発現変化を示すマイクロRNAは認められたが,GST-P陽性細胞巣の有無による違いは特に認められなかった。同組織で取得されたmRNA発現データとの統合解析を行い,メカニズム解析およびバイオマーカーとしての有用性について報告する。

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© 2012 日本毒性学会
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